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ディスコは、半導体製造装置メーカーの中でも特に「ダイシング」や「研削」などのプロセスに特化した企業です。
高い技術力により、ダイシング装置の分野では世界市場の約70%のシェアを占めています。また、高年収の企業としても有名で、年収は1,000万円を超えています。
本記事では、ディスコの特徴について詳しく解説します。
ディスコの主な事業内容は、ダイシングソーやグラインダーなどの半導体製造装置の製造・販売と、ダイシングブレードなどの製造・販売です。特にダイシングソーとグラインダーは、世界トップクラスのシェアを誇ります。
ディスコは、1937年5月に工業用砥石メーカーの「第一製砥所」として創業しました。1940年に組織を有限会社第一製砥所に変更し、本社を東京都神田に移転しました。その後、電力計メーカーからの依頼で厚さ1.2ミリの高精度薄型砥石を開発しました。更に砥石の薄型化をさらに進め、1968年に厚さ40ミクロンの超極薄砥石「ミクロンカット」の開発に成功しました。しかし、加工中に砥石が割れるというクレームが発生しました。世の中に高精度の砥石を扱える切断装置が無かったので、自ら切断装置を開発することになりました。
このように、事業内容が砥石メーカーから砥石を用いた精密加工装置メーカーへと変化してきたことから、1977年に英語社名の「Dai-Ichi Seitosho CO., Ltd.」の頭文字をとって、社名を「DISCO」に変更しました。
会社情報
主な会社情報は下記の通りです。
設立 | 1940年3月2日 |
---|---|
上場 | 1989年10月31日 |
事業内容 | 1. 精密加工装置の製造ならびに販売 2. 精密加工装置のメンテナンスサービス 3. 精密加工装置のオペレーションやメンテナンスの研修サービス 4. 精密加工装置の解体リサイクル事業 5. 精密加工装置のリースおよび中古品売買 6. 精密加工ツールの製造および販売 7. 精密部品の有償加工サービス |
業種名 | 機械 |
本社 | 東京都大田区大森北2-13-11 |
従業員 | 連5,179名 単3,451名 |
平均年齢 | 37.0歳 |
平均年収 | 1,507万円 |
URL | https://www.disco.co.jp |
直近の業績
直近3年の業績です。
売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 利益 | |
---|---|---|---|---|
2022.3 | 253,781 | 91,513 | 92,449 | 66,206 |
2023.3 | 284,135 | 110,413 | 112,338 | 82,891 |
2024.3 | 307,554 | 121,490 | 122,393 | 84,205 |
売上高、利益ともに右肩上がりになっています。
今後も、AI半導体向けに業績の拡大が見込まれています。
「切る」「削る」「磨く」の3種類の加工に特化
ディスコは、「切る」「削る」「磨く」の3つの技術に特化して事業を展開しています。
「切る」加工とは、半導体製造工程におけるダイシングにあたります。ダイシングは後工程の第一段階で、シリコンウェーハを集積回路ごとの細かいチップに切り離す工程です。ディスコのダイシングソーは、1/10000 mmレベルの寸法をコントロールし、割れ・欠けを抑えた品質で、小さく切ることができます。
「削る」加工とは、半導体製造工程におけるバックグラインディングにあたります。シリコンウェーハは、半導体製造プロセスに耐えうる剛性を保つために、直径150 mm(6インチ)の場合は厚さ0.625 mm、200 mm(8インチ)では厚さ0.725 mm、300 mm(12インチ)では厚さ0.775 mmとされています。しかし、パッケージングする時には、この厚みは必要ないので裏面を研削します。ディスコのグラインダーでは、5 µmレベルまで薄く削ることが可能です。
「磨く」加工とは、半導体製造工程におけるバックグラインディング後のストレスリリーフにあたります。バックグラインディング後のウェーハは残留する微細なダメージにより割れやすい状態です。ストレスリリーフは、微細なダメージ層を除去することでウェーハは割れにくくする効果があります。
高い市場シェア
ディスコのダイシングソーは70%の市場シェアを持っており、2位の東京精密の19%を大きく引き離しています。また、グラインダーも60~70%のシェアがあります。
シリコンウェーハの加工には、高い技術力が求めれれます。ディスコは、「切る」「削る」「磨く」の3つの技術に特化した結果、競合他社よりも優れた製品を多くの半導体メーカーに提供しています。
独自の企業文化
ディスコ独自の企業文化や社内制度で、「DISCO VALUES」や「Will会計」があります。
「DISCO VALUES」は、企業としての目指すべき方向性や経営の基本的なあり方、一人ひとりの働き方など、さまざまな観点から「あるべき姿」を明確にした企業理念です。1997年から運用が始まり、項目の追加や見直しをしながら200を超える項目が明文化されています。価値観を共有することで、社員同士や経営者が同じ方向に向かって行動ができるので、強い組織にすることができます。
「Will会計」は、Willという社内通貨を用いて業務やサービス、備品等を金額換算し、収支を管理するものです。Willによる収支の見える化により、社員は客観的・定量的に自分のパフォーマンスを把握することができます。社内の仕事をWillで発注できる「社内オークション制度」や、賞与の一部が所属部門や個人のWill 収支に応じて金額が連動する「Will賞与」といった独自の制度があります。
ディスコは、半導体製造工程における「切る」「削る」「磨く」という領域で圧倒的なシェアと技術力を持つ企業です。
また、高い年収と独自の社内制度で、仕事に対するモチベーションを高く維持できる環境が整っていると言えます。
良い待遇を用意することで優秀な人材が集まり、イノベーションがうまれることで、会社としても更に成長していくことでしょう。