【初心者向け】半導体デバイスの一覧と解説

半導体を用いた電子部品の事を半導体デバイスと言います。

半導体デバイスには、様々な種類があります。これらのデバイスは、電気信号の制御や増幅、変換などの役割を担って言います。

本記事では、主な半導体デバイスの種類とその機能について解説します。

ディスクリート

トランジスタやダイオードのように1素子が単独の機能を持つものをディスクリート(個別半導体)といいます。

ダイオード

ダイオード(diode)は、アノード(陽極)およびカソード(陰極)の二つの端子を持ち、電流を一方向にしか流しません。すなわち、アノードからカソードへは電流を流すが、カソードからアノードへはほとんど流しません。

このような作用を整流作用と言います。

ダイオードの種類
  • 整流ダイオード
    半導体のpn接合の整流性を利用する基本的な半導体ダイオードです。主な目的は交流を直流に変換することです。
  • スイッチングダイオード
    スイッチのように電源回路を開閉する目的で使われるダイオードです。
  • 定電圧ダイオード(ツェナーダイオード)
    一定の電圧を得る目的で使用されるダイオードです。
  • 定電流ダイオード
    加える電圧や負荷抵抗が変化しても常に一定の電流を流すことのできるダイオードです。

トランジスタ

トランジスタ(transistor)とは、電子回路において信号を増幅またはスイッチングすることができる半導体デバイスです。

トランジスタの種類
  • バイポーラトランジスタ
    n型とp型の半導体がp-n-pまたはn-p-nの接合構造を持つ3端子の半導体デバイスです。
  • 電界効果トランジスタ (FET) またはユニポーラトランジスタ
    ゲートの電圧によって制御する方式のトランジスタです。
  • 絶縁ゲートバイポーラトランジスタ (IGBT)
    ゲート部に電界効果トランジスタが組み込まれたバイポーラトランジスタです。
【トランジスタとは?】半導体の基本となるトランジスタについて解説

サイリスタ

サイリスタ(Thyristor)は、電流を遮断状態から導通状態に、またその逆に切り替えることができる半導体デバイスです。

主に電力用など大電流下のスイッチングが優れています。

光半導体

電気信号を光信号に変換する発光素子や光信号を電気信号に変換する受光素子、発光素子と受光素子を組み合わせた複合素子を、一般的な総称として光半導体と呼びます。

発光デバイス

発光デバイスは、電気信号を光に変換する半導体デバイスの一種で、光源として広く利用されています。

発光デバイスの種類
  • LED(Light Emitting Diode)
    電流が流れると発光する半導体デバイスです。主に電気信号を光に変換するために使用され、一般照明、ディスプレイ、信号灯、車のライトなど広く使用されています。
  • レーザーダイオード
    特定の波長の強い単一の光を発生する半導体デバイスです。高密度の光ポイントを生成するため、高速通信、光学データ記録、医療機器、測定装置などの分野で広く使用されています。
  • 有機EL(OLED、Organic Light Emitting Diode)
    有機化合物からなる薄膜を使用して光を発光させる半導体デバイスです。有機ELは、自己発光型であり、薄くて柔軟なディスプレイや照明パネルを実現します。

受光デバイス

受光デバイスは、光エネルギーを電気信号に変換する半導体デバイスの一種です。主に光センサーや光通信などの応用分野で使用され、光の検出、測定、および通信に利用されています。

受光デバイスの種類
  • フォトダイオード
    光を電気信号に変換する半導体デバイスです。光の強度に応じて生成される電流の大きさを測定することで、光の検出や測定に使用されます。
  • フォトトランジスタ
    光が当たると電流増幅を引き起こす半導体デバイスです。フォトダイオードの光検出能力を増幅することで、低光レベル下での検出性能を向上させるために使用されます。
  • 撮像素子
    光を電気信号に変換する半導体デバイスであり、カメラやビデオカメラなどの画像センシング装置に使用されます。

光複合デバイス

光複合デバイスとは、発光デバイスと受光デバイスを組み合わせたデバイスです。

光複合デバイスの種類
  • フォトカプラ・フォトリレー
    入力電気信号を発光素子でいったん光信号に変え、その光信号を受光素子で再度電気信号に戻して出力します。こうすることで電気的に絶縁した状態で信号を伝達することができます。
  • フォトインタラプタ
    物体の有無を検出する光スイッチです。無接点スイッチのため接点の摩耗がなく高い信頼性があります。

センサ

半導体デバイスのセンサは、光、温度、圧力、湿度、位置、加速度などの物理量を検出するために使用される半導体デバイスです。これらのセンサは、電気的な特性の変化に基づいて物理量を検出し、それを電気信号に変換します。

センサの種類
  • 温度センサ
    温度の変化を検出するために使用される半導体デバイスです。主な温度センサには、サーミスタ、温度依存抵抗素子(RTD)、サーミクプル、温度センサICなどがあります。
  • 圧力センサ
    圧力の変化を検出するために使用される半導体デバイスです。圧力センサには、ピエゾセンサ、圧力センサIC、圧電素子などがあります。
  • 加速度センサ
    物体の加速度を測定するためのデバイスです。主に、物体の動きや振動を検出し、その情報を取得します。
  • 磁気センサ
    磁場の強度や方向を測定するためのデバイスです。主に、地磁気や磁気材料の位置や方向を検出し、その情報を取得します。
  • 照度センサ
    周囲の光の強度を測定するためのデバイスです。主に、照明の自動調光、ディスプレイの自動調節、環境モニタリングなどの用途で使用されています。
  • 近接センサ
    物体との距離を検出するためのデバイスです。主に、デバイスに近づいたり離れたりする動作を検出し、自動的に反応する機能に使用されます。

集積回路(IC)

集積回路(Integrated Circuit、IC)は、複数の電子部品(トランジスタ、抵抗、キャパシタなど)を一つのチップに搭載した半導体デバイスです。

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メモリ

データを保存し、必要に応じて読み書きするためのデバイスです。

メモリの種類
  • 揮発性メモリ
    電源供給が切断されるとデータを失うタイプのメモリです。高速でランダムなアクセスが可能であり、コンピュータが実行中のプログラムやデータを一時的に格納するために使用されます。
  • 不揮発性メモリ
    電源が切断されてもデータを保持し続けるタイプのメモリです。主に大容量のデータを永続的に保存するために使用されます。

マイコン

マイコン(Microcontroller)は、マイクロプロセッサと周辺機能(メモリ、タイマー、入出力ポートなど)を一体化した集積回路(IC)の一種です。マイコンは、制御システムや埋め込みシステムで使用され、特定のタスクを実行するために設計されています。

ロジックIC

ロジックIC(Integrated Circuit)は、デジタル回路を実装するための集積回路(IC)の一種です。ロジックICは、論理ゲート(AND、OR、NOTなど)やフリップフロップ、カウンタ、マルチプレクサなどの論理機能を実現するための素子を一つのチップに集積したものです。

アナログIC

アナログIC(Integrated Circuit)は、アナログ信号の処理や制御に特化した集積回路(IC)の一種です。アナログICは、アナログ信号を増幅、フィルタリング、変換、制御するための回路機能を一つのチップに集積したものです。

まとめ

半導体デバイスはたくさんの種類があり、テクノロジーで私達の便利な生活を支えています。

これらは半導体デバイスの一部で、実際にはさらに多くの種類があります。

全てを網羅することは難しいですが、それぞれの半導体デバイスについて詳しく記事にまとめていければと思います。

参考文献