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ダイシングで切り出したチップを基板に貼り付ける工程がダイボンディングです。
後工程ではチップのことをダイシングをした後はダイと呼ぶことがあります。それをボンディング(接着)するので、ダイボンディングです。
今回は、チップを基板に固定するダイボンディングについての解説です。
ダイボンディングは、ダイシングをしたウェーハの中から良品のチップのみを選択し、ダイパッドに乗せてから、接着剤などで固定する工程です。
半導体デバイスの信頼性や性能に直結するため、正確かつ高精度な作業が求められます。接合不良や配置のズレがあると、電気的な不具合や動作不良が発生し、製品全体の信頼性に悪影響を及ぼす可能性があります。
ダイボンディングは、ダイシングの工程でダイシングフレームにウェーハがテープで貼られた状態で行います。不良品チップは、検査工程でインクで目印を付ける事があります。
まず、良品チップを下からニードルで突き上げます。
浮いたところを真空チャックで吸着してリードフレームのダイパッド部に搬送します。
チップは接着剤が塗布された基板に載せられ、加圧とすり合わせにより接着されます。
最後に熱処理によって接着剤が固まります。
ダイボンディングは、使用する接着材料や接合方法に応じてふたつの方法があります。ひとつは共晶合金結合法ともうひとつは樹脂接着法です。
共晶合金結合法
共晶合金結合法は、チップを金属リードフレームやセラミック基板に固定する場合に用いられます。
チップの裏面のシリコンとリードフレームの金メッキを400℃程度で加熱しながら圧着し、すり合わせを行うことで、Au-Si結晶合金が成形され、固着されます。
樹脂接着法
樹脂接着法は、エポキシ樹脂ベースの銀ペーストを接着剤として用い、常温から250℃程度に加熱して、加圧とすり合わせでダイをリードフレームに接着させます。
樹脂接着はあらゆる素材の基板に使えるうえ、常温から比較的低温で硬化させることができるため、広く使われる方法です。
ダイボンディング装置は、基板を搬送するローディング部、基板に樹脂を塗布する樹脂供給部、ダイシングされたウェーハを搬送するウェーハローディング部、基板とチップの接着を行う本体部、加熱を行う熱処理ステージ部、工程を終えたチップと基板を搬送するアンローディング部で構成されています。
ASM Pacific Technology (ASMPT)
シンガポールに本拠を置くASMPTは、半導体製造装置や電子製造機器の大手メーカーであり、ダイボンディング装置分野でもトップクラスのシェアを誇ります。幅広いアプリケーションに対応した高精度のダイボンディング装置を提供しており、最新のフリップチップやワイヤーボンディング技術も開発しています。
Kulicke & Soffa(K&S)
アメリカに本社を置くKulicke & Soffaは、半導体パッケージング装置のパイオニアで、特にワイヤーボンディング装置とダイボンディング装置で世界的に有名です。半導体パッケージング市場において、幅広い技術ソリューションを提供しています。
Besi
オランダに拠点を置くBesiは、半導体製造装置を専門とするグローバル企業です。ESECシリーズのダイボンディング装置で知られています。ダイボンディング技術においても先端的なソリューションを提供しています。特に、パワー半導体やMEMS向けのボンディング装置で高い評価を受けています。
芝浦メカトロニクス
日本の芝浦メカトロニクスは、半導体・FPD前工程装置、後工程装置、真空応用装置などが主力製品です。高度なメカトロニクス技術を活用し、精密なダイボンディング装置を提供しています。半導体フリップチップボンダやFPD用ボンダでも豊富な実績があります。
株式会社新川
2019年7月にヤマハロボティクスホールディングスから新設分割で設立されたのが株式会社新川です。半導体製造装置の研究・開発・設計・製造・販売および保守サービスを行っています。フリップチップ方式のダイボンディング装置では、業界内で約30%のシェアを持っています。
ダイボンディングは、半導体製造の最終工程の一つであり、デバイスの性能や信頼性に大きく関わる重要なプロセスです。
使用される接着材料や接合方法の選択、精密な位置決めが求められるため、技術的な精度が高く、品質管理が徹底される必要があります。
この工程の最適化により、半導体デバイスの性能向上やコスト削減が期待されます。
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