半導体のワイヤーボンディングの解説と主な装置メーカーを紹介

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ワイヤーボンディングは、ダイボンディングでリードフレームに固定された半導体チップと外部端子を細い金属線で接続する工程です。このプロセスは、電子機器が正常に動作するために不可欠であり、その技術進化は半導体の小型化・高性能化に大きく貢献しています。

今回は、電気的に接続するワイヤーボンディングの解説です。

ワイヤーボンディングとは

ワイヤーボンディングは、半導体チップの電極パッドと外部リードフレームや基板などを金属ワイヤーで接続する工程です。

この接続により、チップ上で生成された信号が外部回路へと送られ、半導体デバイスが機能を発揮できるようになります。

ワイヤーボンディングで使用されるワイヤーの材料は、主に金です。金は高い導電性と酸化に強い特性があるため、長期の信頼性を確保できる材料として広く使用されています。金ワイヤーの太さは、LSIでは最小で15μmほどです。

ワイヤーボンディングは、コスト面や生産性に優れた技術として広く用いられており、多くのパッケージ製品で使用されている接続技術です。

ワイヤーボンディングの工程

ワイヤーボンディングは、以下のようなステップで行われます。

ワイヤー供給

ワイヤーは、ワイヤースプールに巻かれた状態でセットされます。クランパと呼ばれる器具で供給量を調整しながら、キャピラリの先端から引き出されます。

ボンディング

ワイヤーの先端に電気トーチを近づけて、スパークを発生させることで先端を金の球状にします。これをボンディングパッドに押し付けて熱圧着します。熱圧着には、350度での加熱が必要なNTC方式と、熱と超音波のエネルギーを併用して行うNUTC方式という2つの方法があります。低温かつ金属・樹脂を問わず適応ができるため、UNTC方式での熱圧着が主流です。

ループ形成

キャピラリがワイヤーを出したままインナーリードに移動します。移動する際にワイヤーに曲線部をもたせることで、衝撃を軽減する効果を持たせます。これをルーピングと言います。

接続と切断

リードフレームに接続された後、ワイヤーを切断し、次のボンディングポイントに進みます。

主なワイヤーボンディングの種類

ワイヤーボンディングには、以下の主な2つの方法があります。

ボールボンディング


ワイヤ先端にボールを形成し、熱・超音波・圧力を用いて電極に接続します。
接合面積が大きく、信頼性が高いのが特徴です。

ウェッジボンディング


ボールを形成せず、金線を直接電極に接合します。
パッケージの高さを抑えられ、小型化に適しています。

主な装置メーカー

ワイヤーボンディング装置の主要なメーカーには以下のような企業があります。

Kulicke & Soffa

アメリカに本社を置くKulicke & Soffaは、半導体パッケージング装置のパイオニアで、特にワイヤーボンディング装置とダイボンディング装置で世界的に有名です。半導体パッケージング市場において、幅広い技術ソリューションを提供しています。

株式会社新川

2019年7月にヤマハロボティクスホールディングスから新設分割で設立されたのが株式会社新川です。

半導体製造装置の研究・開発・設計・製造・販売および保守サービスを行っています。主な製品には、ワイヤボンダ、ダイボンダ、フリップチップボンダ、バンプボンダなどがあります。新川のワイヤーボンダーは、画像認識技術やデジタル信号処理技術などの最先端の技術を導入して、1/1000ミリという超精密かつ高速な動作環境を実現しています。

株式会社カイジョー

株式会社カイジョーは、超音波技術を基盤としたボンディングや洗浄プロセスのトータルソリューションを提供する企業です。カイジョーは、超音波計測機器メーカーとして創業し、徐々に超音波洗浄などの一般産業事業へと裾野を広げ、1967年に、初めての超音波溶着装置、マニュアルワイヤボンダー「WA-140N」を商品化しました。

ボンダー事業では、半導体アセンブリ工程向けの高速・ファインピッチ対応のボンディング装置を開発・製造しています。

まとめ

ワイヤーボンディングは半導体の製造において欠かせない実装技術となっており、電子機器の小型化や高性能化に大きく貢献しています。

技術革新が進む中、より高精度で効率的なワイヤーボンディング技術が求められており、今後も重要な役割を果たすでしょう。

参考文献

  • 佐藤淳一「図解入門 よくわかる半導体プロセスの基本と仕組み」、秀和システム (2020/8/29)
  • エレクトロニクス市場研究会「図解即戦力 半導体業界の製造工程とビジネスがこれ1 冊でしっかりわかる教科書」、技術評論社 (2022/3/2)