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平坦処理では、でこぼこになったウェーハの表面を研磨して平らにします。
先端ロジック半導体の多層配線化が進むにつれて、CMP装置によるウェーハの平坦化が必須となってきました。
今回は、ウェーハの表面を研磨して平らにする平坦処理(CMP)プロセスの紹介です。
平坦処理は、CMPという平坦化技術で行います。
CMPとは化学機械研磨(Chemical Mechanical Polishing)の略で、薬液による化学反応による研磨と、研磨粒子による機械的な研磨を組み合わせてウェーハの表面を平坦にします。
ウェーハの表面を平坦にしなければならない理由は、半導体の多層配線化が進んだためです。次の図のようにウェーハの表面がでこぼこしていると、層を積み重ねる時に次の層もでこぼこになるという問題が起こります。
また、リソグラフィー工程でも問題が起こります。露光装置の解像度を上げるほど、焦点深度が低下するのでウェーハの表面が平坦である必要があります。つまり、僅かな段差があれば微細なパターンを正確に転写できないということです。
したがって、多層配線化を進めるためには完全な平坦化が求められます。
CMPでは、スラリーと呼ばれる研磨粒子の含まれた薬液で研磨表面を変質・溶解させることで、研磨粒子による機械的研磨の効果が増し、加工速度が上がるほか、平滑な研磨面を得る事ができます。
スラリーの組成は、対象材料(酸化膜、金属膜など)に応じて調整されます。
一般的なCMP装置の構造は、下の図のようになっています。
ウェーハの裏面を研磨ヘッドに吸着させて、ウェーハの表面を研磨パッドに押し付けます。
研磨パッドの種類は、対象材料や目的に応じて硬質パッドや軟質パッド、あるいは両方を組み合わせたりします。
研磨パッド上にはスラリーと呼ばれる研磨粒子の含まれた薬液を滴下します。
研磨ヘッドを回転させながら上から圧力をかけ、研磨パッドも回転させることでウェーハの表面を研磨します。
研磨パッドがスラリーで目詰まりするのを解消するために、ドレッサーでリフレッシュします。
平坦化の結果を向上させるためには、研磨ヘッドの加圧や研磨速度、スラリーの適合性などといった多くのパラメーターがあり、良い条件を見つける必要があります。
研磨処理後のウェーハ上には、スラリーに含まれる研磨粒子が残っています。乾燥すると固まって取れなくなるので、乾燥する前に研磨粒子を取り除くことが必要です。そのため、洗浄装置を併せ持つCMP装置もあります。
CMP装置市場の6割程度を占めるのは、アメリカのApplied Materialsです。日本メーカーは、荏原製作所と東京精密が製造しています。
荏原製作所は、祖業のポンプをはじめ、送風機やコンプレッサ・タービン、固形物廃棄物処理、半導体製造装置など手掛けるメーカーです。CMP装置内で研磨・洗浄・乾燥処理を行うドライイン・ドライアウトという方法を開発し、CMP装置をクリーンルーム内に設置することを可能にしました。世界シェアはApplied Materialsに次いで2位です。
東京精密は、CMP装置やプロービングマシンなどの半導体製造装置部門と3次元座標測定機やX線CT装置などの精密測定機器部門の製造販売を行うメーカーです。計測技術を半導体製造装置に展開して、プロービングマシンを主力製品としてきましたが、CMP装置の製造にも進出しています。
平坦処理(CMP)プロセスは、半導体製造においてウェーハの表面を平坦にするための重要な技術です。
この技術は、微細化が進む半導体デバイスの製造において不可欠な工程となっています。