半導体の最終検査の解説と主な装置メーカーを紹介

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半導体の最終検査(Final Test)は、製造されたICチップが設計通りに動作するかを確認する最終段階の検査工程です。

半導体デバイスの品質を確保し、不良品を市場に出さないために非常に重要なプロセスとなります。

今回は、半導体の最終検査の概要と、検査装置を提供する主要メーカーについて解説します。

最終検査とは

半導体の最終検査(Final Test)は、製品が出荷される直前に行われる重要なプロセスです。

最終検査は、チップの初期不良の有無や電気的特性の合否判定を検査し、出荷をしてもよいかを判断します。初期不良品を効率的に除去し、製品の品質を向上させます。

最終検査の主な目的は、次の4つです。

  • 電気的特性の確認:回路が正しく動作するかチェック
  • 製品の信頼性テスト:環境ストレスや長時間使用に耐えられるか検証
  • 外観検査:パッケージに欠陥がないか確認
  • 分類と選別:動作特性に応じてグレード分類

これらの検査の基準を満たしたものだけが製品として出荷されます。

最終検査の主な工程

ファンクション試験

半導体デバイスが設計通りに正しく動作するかを確認するための試験です。

この試験では、デバイスの基本的な論理回路機能が期待通りに機能するかをチェックします。具体的には、設計段階で作成されたテストパターンをデバイスに適用し、その出力が期待される値と一致するかどうかを確認します。

試験により、不良品を早期に発見し、製品の信頼性を向上させることができます。

ファンクション試験は、半導体製品が設計通りに動作することを保証するために不可欠です。

バーンイン試験

バーンイン試験は、半導体デバイスの初期不良低減を目的として行う試験です。劣化予測のためのデータ取得も可能です。

この試験では、デバイスに高温と高電圧のストレスを加えることで擬似的な経過変化を起こし、初期故障を加速し、短時間で不良品を除去します。

バーンイン試験には、スタティックバーンインとダイナミックバーンインの2種類があります。

スタティックバーンインは、半導体デバイスをスタティック状態(スタンバイ状態)で試験し、DC的な電圧ストレスを加えることで初期不良を除去する方法です。この試験では、デバイス内部の各ノード電位を固定し、絶縁膜などに電圧ストレスを印加して、リーク電流の増加や動作速度の劣化、しきい値電圧の変動などによる不良品を除去しま。

ダイナミックバーンインは、半導体デバイスに高温と高電圧のストレスを加えながら、動作状態で試験を行う方法です。この試験では、電源電圧と入力信号パルスを与えてデバイスを動作させ、初期故障を加速し、不良品を除去します。特に、市場での使用状態に近づけたスクリーニングが可能で、コンタクトや多層配線の欠陥による不良品を効果的に検出できます。

外観検査

高解像度カメラや画像処理システムを使用して、パッケージの外観を確認します。

半導体パッケージ表面の傷やクラック、汚れや異物の付着などの不良や、リードの曲がりがないかをチェックします。

最終検査装置の主なメーカー

半導体の最終検査には高度なテスト装置が必要となります。

主なテスト装置のメーカーは、次の2社です。

アドバンテスト

アドバンテストは、日本を拠点とする半導体製造装置メーカーで、特に半導体テスト装置に強みを持っています。

ウェーハテストからパッケージ後のファイナルテストまで、モリやSoC、HPCデバイスなど、多様な半導体を試験可能なテストシステムを提供しています。

また、チップを搬送するハンドラや、テストシステムとデバイスを接続する機器も製造しています。

 高精度な測定技術と設計力が強みで、自社で半導体の設計を行い、テストシステムの性能向上に貢献しています。

テラダイン

テラダイン(Teradyne)は、米国を拠点とする自動試験装置(ATE)の大手メーカーで、特に半導体テスト装置に強みを持っています。

主に半導体テスタを製造し、デジタル/ミックスドシグナル、ワイヤレス、メモリ、パワー・エレクトロニクスなど幅広い分野で利用されています。

高性能で高速なテストシステムを提供し、複数の工程を一台で効率的に行えるように設計されています。

まとめ

半導体の最終検査は、製造されたICチップの品質を保証するために不可欠なプロセスです。

電気的特性試験、製品の信頼性テスト、外観検査などを通じて、不良品を除去することで、信頼性の高い製品を出荷することができます。

参考文献

  • 浅田邦博、パワーデバイス・イネーブリング協会「はかる✕わかる半導体 入門編 改訂版」、日経BPコンサルティング(2020/12/14)
  • エレクトロニクス市場研究会「図解即戦力 半導体業界の製造工程とビジネスがこれ1 冊でしっかりわかる教科書」、技術評論社 (2022/3/2)