半導体のモールディングの解説と主な装置メーカーを紹介

この記事には広告を含む場合があります。

記事内で紹介する商品を購入することで、当サイトに売り上げの一部が還元されることがあります。

ワイヤーボンディングが終わったら、樹脂で固めることで半導体のパッケージは完成です。

これまでの工程で製造された半導体チップは、非常に繊細で衝撃や汚染にとても弱いです。モールディングは、半導体チップを外部環境から保護し、耐久性や信頼性を向上させるために行われます。

今回は、チップを保護するモールディングの概要、そして主な装置メーカーについての解説です。

モールディングとは

モールディング(Molding)は、ワイヤーボンディングが終わったチップを外部環境から保護するためにエポキシ樹脂などを用いて封止するプロセスです。

この工程の目的は、以下のような半導体デバイスの保護です。

  • 物理的保護: 外部からの衝撃や摩耗を防ぐ。
  • 電気的絶縁: チップ表面や配線を外部の電気的干渉から守る。
  • 環境耐性向上: 温度、湿気、化学物質などからの影響を軽減。

モールディングの工程

モールディングは、主に以下のような手順で行われます。

リードフレームを下部金型にセットする

ボンディング工程で接続されたリードフレームとチップを160~180度に加熱された下部金型にセットし、上部金型で蓋をします。上部金型に圧力をかけて、金型とリードフレームを密着せます。

ポット部から樹脂を投入する

ポット部から金型の間に熱硬化性エポキシ樹脂を投入し、プランジャで押し込みます。投入時のエポキシ樹脂は固形ですが、金型の熱によって液状になります。

樹脂を硬化させる

プランジャによる加圧でエポキシ樹脂を金型全体に行き渡らせたあとは、エポキシ樹脂が硬化するまでそのままの状態を保持して待ちます。

リードフレームを取り出す

樹脂が硬化したら金型を外し、所定の温度で加熱することで樹脂を完全に硬めます。

モールディングの種類

モールディングにはいくつかの種類があり、デバイスの用途や形状に応じて選択されます。

トランスファーモールド

上記で解説した方式がトランスファーモールドです。

最も一般的な方法で、溶融した樹脂をプランジャで金型に圧送し、硬化し封止する方法です。大量生産に適しています。

コンプレッションモールド

金型に液状もしくは顆粒状の樹脂を入れ、溶融した後にチップを浸し入れて樹脂成形する樹脂封止方法です。

主な装置メーカー

モールディング装置の主要なメーカーには以下のような企業があります。

TOWA株式会社

TOWA株式会社は、半導体製造装置と超精密金型の開発・設計・製造・販売を主な事業とする京都に本社を置く企業です。

世界に先駆けてマルチプランジャでの全自動半導体樹脂封止装置を開発して以来、半導体モールディング市場において、リーディングカンパニーであり続けています。また、最先端封止技術として新たに開発したコンプレッション方式で、市場のニーズを先取りしています。

モールディング市場において、世界シェア60%以上を占めるグローバルリーダーです。

アピックヤマダ株式会社

アピックヤマダ株式会社は、特にモールディング装置の開発・製造・販売を行う企業です。現在はヤマハロボティクスホールディングスの傘下にあります。

日本で初めて半導体チップをパッケージングする樹脂封止金型を開発・製造しました。

まとめ

モールディングは、半導体チップを外部環境から保護し、性能を最大限に発揮させるために不可欠な工程です。

これで半導体のパッケージとしての形は完成しました。

最後にファイナルテストを行い、半導体の性能を評価して製品として出荷することになります。

参考文献

  • 佐藤淳一「図解入門 よくわかる半導体プロセスの基本と仕組み」、秀和システム (2020/8/29)
  • エレクトロニクス市場研究会「図解即戦力 半導体業界の製造工程とビジネスがこれ1 冊でしっかりわかる教科書」、技術評論社 (2022/3/2)