LED(発光ダイオード)の仕組みと用途を解説

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LED(Light Emitting Diode、発光ダイオード)は、電気エネルギーを光エネルギーに変換する半導体デバイスです。

白熱電球は、フィラメントの電気抵抗による熱と光を発生させます。蛍光灯は、アーク放電により蛍光物質を光らせるというものです。これらに対して、LEDの場合は、電気をそのまま他のエネルギーに変えることなく光に変えることができるため、非常に効率的です。

LEDは、その効率性、耐久性、低消費電力などの特性から、多くの応用分野で広く使用されています。

本記事では、LEDの仕組みと用途について詳しく解説します。

LEDの仕組み

LEDの構造

LEDは、正孔(ホール)が多数キャリアであるp型半導体と、電子が多数キャリアであるn型半導体をpn接合した構造をしています。

パッケージされた構造は下図のようになっています。

金属製のリードフレームの片側にLEDチップが取り付けられて、そこから細い金属のワイヤ(ボンディングワイヤ)がもう片方のフレームにつながっています。

それにケースとなる樹脂をかぶせます。ケースは光を拡散させるレンズとしての役割もあります。

出典:Wikipedia

動作原理

LEDの動作原理は、pn接合に電圧を加えることで電子と正孔が再結合ます。再結合すると、お互いが持っていた余分なエネルギーが光として放出されます。

LEDは電気エネルギーを直接光に変換するため、発電効率はとても高いです。

  • 順方向電圧の印加: LEDのアノードに正電圧、カソードに負電圧を加えます。
  • 電子と正孔の移動: 電圧が加わると、「正孔」がn型半導体の方向へ、「電子」がp型半導体の方向へ向かって流れます。
  • 再結合と光の放出: 電子と正孔が再結合する際、余分なエネルギーが光として放出されます。

発光の色

LEDが発する光の色は、使用される半導体材料とその組成によって決まります。

赤と緑のLEDは1960年代に実用化レベルに達していましたが青色LEDの開発は難航し、20世紀中の実現は困難といわれていました。しかし、1989年に当時名古屋大学教授だった赤崎勇氏と名古屋大の大学院生だった天野浩氏が窒化ガリウムを用いた青色LEDを開発しました。その後、当時日亜化学工業の研究者だった中村修二氏がこの成果を発展させて量産化に道を開き、1993年に同社が世界で初めて製品化しました。

青色LEDの発明で光の三原色の赤・緑・青が揃い、あらゆる色を出すことができるようになりました。

この成果が評価され、上記の三名は2014年にノーベル物理学賞を受賞しました。

一般的に、次の材料が使用されます。

  • 赤色: アルミニウムガリウムヒ素(AlGaAs)
  • 緑色: インジウム窒化ガリウム(InGaN)
  • 青色: 窒化ガリウム(GaN)

LEDの用途

LEDの特性を活かして、さまざまな分野で応用されています。以下に主要な用途を紹介します。

照明

省エネルギー、高輝度で長寿命を実現できる白色LEDの開発に伴い、発熱に伴うエネルギー損失の多い白熱電球や蛍光灯などに代わり、屋内・屋外照明材料として、LED照明が使用されています。

  • 家庭用照明: LED電球は、長寿命でエネルギー効率が高いため、白熱電球や蛍光灯の代替品として広く使用されています。
  • 街路灯: 高効率なLED照明は、都市の街路灯として採用され、エネルギーコストの削減とメンテナンスの低減に寄与しています。
  • 自動車照明: ヘッドライト、テールライト、ブレーキライトなどにLEDが使用され、高い視認性と低消費電力を実現しています。

ディスプレイ

液晶モニターのバックライト光源としてLEDを用いる方式が普及しています。LEDバックライトは、電力消費が少なく、色の再現範囲を大きく広げられます。欠点として、LEDは点光源のため広い面積を照射しようとするとムラを生じ易いです。しかし近年はMiniLED方式が開発され、光量の調整をきめ細かく行うことで液晶が苦手だった黒の再現(コントラスト比)を高めることができるようになりました。

また、LED素子自体を発光させて映像を表示する方式があります。液晶モニターと比べて約20倍の明るさを出すことが可能で、晴れた屋外でも映像を見ることができます。

  • テレビやモニター: LEDバックライト技術は、薄型テレビやモニターの高輝度・高コントラストを実現しています。
  • デジタルサイネージ: 大型ディスプレイや広告パネルにLEDが使用され、鮮明で目を引く表示が可能です。

通信

LEDは、駆動電流の変化に対し光出力が高速応答できるという特性を活かして通信機器に広く利用されています。

  • 光ファイバー通信: LEDは光ファイバー通信システムの光源として使用され、高速データ伝送を実現します。
  • 赤外線通信: リモコンや近距離通信において、赤外線LEDが信号送信に使用されています。

まとめ

LEDは、半導体技術を利用した高効率な発光デバイスであり、電気エネルギーを光エネルギーに変換することができます。

低消費電力、長寿命、耐久性の高さなどの特性から、照明、ディスプレイ、通信、インジケーター、医療などの幅広い分野で利用されています。

LED技術の進展により、今後もさらなる応用範囲の拡大と性能向上が期待されます。

参考文献